ゃ馬で、ほとほと持てあますことがしばしばあった。しかし、彼此《かれこれ》するうちに二人の間に女の子が出来、それからというものは、彼女は非常におとなしくなった。
 するとその頃父のミルトン・ソムマースは、老齢のためか、又は寂しさのためか、にわかに健康が衰え出して来て、遂には二六時中床の上に横わらねばならぬくらいになった。そこで彼もとうとう我を折って、ハリーとその家族を呼びにやって同居させ、ハリーに田地の監督をさせ、エドナに家政を司らせることにした。
 老人の病気は段々悪くなるばかりであって、とうとう家族のものでは看護がしきれぬというので、ニューヨークから看護婦を雇うことにした。看護婦はコーラ・ワードといって頗《すこぶ》る美人であったが、いつの間にかハリーに心を寄せ、ハリーも満更《まんざら》厭でない様子であった。しかしこの様子を見たエドナは、急に本来の険悪な性質を発揮して、はげしい喧嘩こそしなかったが、非常に看護婦をうらんで、早く解雇してくれとハリーに迫った。
 家政婦のホーキンスはエドナが来てから、食事に関する仕事はエドナに奪われ、掃除だとか、洗濯だとか、卑しい仕事ばかりさせられるように
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