あって、彼女が感化院へ送られたときいて、大《おおい》に怒って、それをウォーカーが二人の中を割く口実だと曲解しウォーカーを罵ったことがわかったのである。
 これによってウォーカーへ爆弾を送った動機が知れた。よってプライスはウォーカーの家のものを連れて来てヘンリーを見せると、果して「きじるしのヘンリー」だと言った。それにも拘わらず、ヘンリーは頑固に知らぬ知らぬを繰返していたので、プライスは又の機会を待たねばならなかった。しかしその機会は間もなくやって来た。
 始め医師はヘンリーに向って恢復の望みのあるように告げたが、段々容態が悪くなったので、もう数時間しか保たないと宣告すると、ヘンリーは始めて覚悟したらしく、探偵プライスを病床に招いた。
「ウォーカーの所へ爆弾を贈ったのは君ですね?」と探偵は訊ねた。
「はあ」
「ウォーカーと女のことで喧嘩したからですか」
「はあ」
「ロザルスキー判事へ贈ったのも君ですか」
「はあ」
「何故贈ったのです?」
「わかりません」
「新聞を読んで判事の態度が癪《しゃく》に障《さわ》ったのですか」
「はあ」
「ヘララ家へ爆弾を持って行ったのも君ですか」
「はあ」

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