恐ろしき贈物
小酒井不木
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)おもて向《むき》は
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)二|進《ち》も
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)きじるし[#「きじるし」に傍点]のヘンリー
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一
ニューヨーク市、西第七十街のあるアパートメントに、グレース・ウォーカーという四十前後の女が住んでいた。おもて向《むき》は極めて静かな生活をしていたけれど、警察はかねてから彼女に目をつけていた。というのは彼女は一口にいえば待合のようなものを営んで、多くの良家の子女に恥かしい行為を勧めていたからである。ところが、あるときヴァイオレット・リオナードという十五歳になる女を取持っていたとき、警察に踏み込まれて、少女はある感化院に送られ、彼女も拘引されて相当の処罪を受けた。
放免されて後、彼女は以前の住家に近いあるアパートメントを借りて、やはり前同様の後ろ暗い仕事を始めていた。ある日のこと、彼女が友だちの訪問を受けて、色々の世間話をして興じ合っていると、丁度そこへ、郵便が来て、一個の小包
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