までわかったとき、警察では数年前のクレチュカ事件とヘンリーとを結び付けた。それはブルックリンのジョン・クレチュカという男が、差出人不明の贈物を貰い、同じように負傷した事件である。爆発力は今回のほど強くはなかったが、クレチュカは重傷を負った。その当時警察ではクレチュカと喧嘩した男を犯人として逮捕したが、証拠不十分でその男は放免された。そこで、今回クレチュカを呼び寄せて訊いて見ると、果してヘンリーとも喧嘩したことのあることを思い出した。クレチュカもやはりヘンリーと同じ製図部に勤めていたが、あの虫も殺さぬような顔をしているヘンリーの仕業とは夢にも思わなかったと語った。
こうしてヘンリーに対する証拠は段々《だんだん》集って来た。そこで探偵は更に一歩を進めて、ヘンリーとウォーカーとの関係を調べた。その結果、ヘンリーはウォーカーの家にしばしば出入りしたことがわかり、且つ、ヘンリーは臆病どころか、随分大胆な、常軌を逸したことをするので、「きじるし[#「きじるし」に傍点]のヘンリー」と綽名されていることさえもわかった。なおよく調べて見ると、彼は、前に書いた十五歳の少女ヴァイオレットと馴染《なじみ》で
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