たりまえ》だ。そんな事で、村の人はきっと飛山君を排斥しているに違いない。
僕は前の島内君の事があるので、飛山君と遊んで好《い》いかお母さんに訊《き》いて見た。するとお母さんは、
「構いませんとも。飛山さんは少しも悪い事をしたんじゃありませんし、飛山君のお父さんも、学校の先生に伺ったり、新聞で読んで知ったのですけれども、贋紙幣を拵《こしら》えたのではなくて、使おうとしただけで、しかもそれは贋《にせ》だとは知らなかったのです。けれども、飛山さんのお父さんは、その紙幣《さつ》がどうして手にはいったかと云う事をどうしても云わないのです。それで警察に留められているのです。お父さんは大方誰か恩になっている人から、それを貰ったので、その事を云うと、その人の迷惑になると思って黙っているのでしょう。今時|他人《ひと》の迷惑になるのを恐れて、警察に留められても黙っているなんて珍らしい方ですよ」
「お母さん、贋紙幣ってどうして造るの」と訊いて見たら、お母さんはそんな事は知らないと云った。そうして紙幣《さつ》と云っているけれども、あれは正しくは兌換券《だかんけん》と云うもので、日本銀行と云う銀行が発行してい
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