》が並べてあるのではない。忠臣蔵四段目、福助の判官が切腹を終ったすぐあとの、静寂なる場面の印象を描いたものである。

   芦屋風景

 芦屋という処へ住んで二年になる。先ず気候は私たちの如くほそぼそと生きているものにとっては先ず結構で申分はない。そして非常に明るい事が、私たち淋《さび》しがり屋のために適当しているようだ。
 南はすぐ海であり、北には六甲山が起伏し、その麓《ふもと》から海岸まではかなりの斜面をなしている。東に大阪が見え、西には神戸の港がある。電車で大阪へ四十分、神戸へ二十分の距離である。
 その気候や地勢の趣きが南仏ニースの市を中心として、西はカーニュ、アンチーブ、キャンヌ東はモンテカルロといった風な趣きにもよく似通《にかよ》っているように思えてならない。殊に山手へ散歩して海を眺めるとその感が深い。小高い丘陵が続く具合、別荘の多い処、自然が人間の手によってかなり整頓されている処、素晴らしいドライヴウエイがあり、西洋人夫婦が仲よく走る有様なども似ている。私は散歩する度《た》びに南仏を思い出すのである。
 それで随分風景を描く場所も従って多く、風景画には不自由を感じないよう
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