ともある。飲める者とのめない者とがこの世に共存するのは情けない。しかしながら酒なき食卓は火の気なき火鉢ではある。
因果の種
誰も同じことかも知れないが、どうも私はほんのちょっとした絵を仕上げる場合でも必ずそれ相当の難産をする。
楽しく安らかに玉のような子供を産み落としたという例は、皆目ないのである。
その難産を通り越すか越さないかが一番の問題である。越せばとにかく絵は生まれる。越さない時は死か流産か、あるいはてこずりとかいうものである。
難産が習慣となっている私にとっては、たまに軽い陣痛位で飛び出したりすると、いかにもその作品に自信が持てないのである。情けないことである。
それで難産で苦しんだ時の絵は必ず上等で、玉の如き子供であるかというに、それが決して左様でもない。ただ妙な関係で絡みついてしまって一と思いに殺してしまうわけにも行かないところのものが生まれりなどするのである。
本当のお産だってそうだ。一年間も親は苦しんだ上、命をかけて産み落とした筈のその子は必ず上等であるとはきまっていない。でも自分達夫婦の分身であり、母親は生命をかけた関係上、実は人間よりも狸に近
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