また泥酔してなるべく雑言を吐き散らし、迷惑を他人に及ぼし喧嘩をなし、常々嫌だと思う奴の頭を撲りつけ、乱暴を働き騒ぎ廻ってみたいと考えている。酔えるものは、こら馬鹿めといったところで酔っているからということで相すむけれども、私の如く常に醒めているものが誰かに馬鹿めといったら、その馬鹿は一生涯消え失せない馬鹿となる。酒は都合よきごま化し薬であると思う。あらゆることをごま化すのみでなく自分自身の心をごま化し、もって心を転化させることさえ出来る。
 ごま化すといえば、煙草だってそうである。一時の疲れた神経をごま化し、人と自分との対話の間にあっては煙幕を張って、あるてれくささをごま化し、話と話の空間をふさぐのに適当である。
 酒も煙草ものめない私は、常に常であるところから悩みは悩みの上へ重なり、疲れは疲れの上に堆積するばかりである。
 時にコーヒーと餅菓子とケーキをもって心気を爽やかにすることは胃散の用意なくては出来難い。しかる後、心に積る悩みは固まって憂鬱となるおそれがある。
 私はまったく酒によって心よき前後不覚の味を得てみたいと思う。あるいはまったく酒なき世界が現れてほしいものだと考えるこ
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