う。
 しかし私は酒による恍惚境とその色彩と、その雰囲気と、その匂いと、その複雑にして深味ある味は何物にも求め得ない宝玉の水だと思っている。私は常にそれをちょっとなめさせてもらうだけで一生涯満足せねばならぬ。

 花の頃の日曜や祭日等、私は遠足や郊外への散歩等を好まない。子供のつき合いで止むを得ない限りはなるべく出ないことにしている。あの電車や汽車の混雑も嫌だが、ことに泥酔者がうるさくて堪らない。
 泥酔者は電車の中で嘔吐を吐く、電車のみでなく道路でさえ陽春にはどれ位多くの嘔吐が一夜に吐き散らされているか知れない。そしてそれを見ると彼等が今まで何をたべ何をしていたかが想像出来るからなおさら堪らない不潔さを感じる。
 よき日和であり日曜であれば、人間の機嫌はよろしい。まず家族づれの清遊を試みようとして出かけたりするが、その途中で泥酔者が電車に乗り合わせたりすると私の機嫌など消滅してしまい、不潔な一日を得て帰ることも多い。
 そこで私は外出や行楽は必ず日曜祭日以外においてすることにきめている。そして花時や祭日は家に籠居してもって楽しみとする。
 しかしながら私がもし酒がのめたとしたら、私も
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