かな教室の皆の者が私の顔を見た。私は蜻蛉に同情したために放課時間中、教室に一人立たされていた。
でも、早くあの蜻蛉に会いたくて走って帰ると、蜻蛉は猫に食べられて二、三枚の羽根となって散了していた。私は地団太《じだんだ》踏んで泣いた。とうとう、丁稚《でっち》と番頭につれられて、八丁寺町《はっちょうてらまち》へ大蜻蛉狩りを行った事である。
最もエロチックにして毒々しき教育のモチーフは、千日前《せんにちまえ》を散歩するとざらに転《ころ》がっていた。私の家が千日前に近い関係上、ひまさえあると誰れかに連れられて私はこの修羅場《しゅらば》を歩きまわった。
活動写真はまだ発明されていなかったために、そこは、地獄極楽の血なまぐさい生《いき》人形と江州音頭《ごうしゅうおんど》の女手踊りと海女《あま》の飛び込み、曲馬団、頭が人間で胴体が牛だという怪物、猿芝居二輪加《さるしばいにわか》、女浄るり、女|相撲《ずもう》、手品師、ろくろ首の種あかし、等々が並んでいる。中でも私の好きなのは、あくまで白く塗った妖味《ようみ》豊かなろくろ首の女であった。怖《おそ》ろしいのだが、見たいのだ。何かキラキラと光る花か
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