て賞めてさえくれればまあよかったと安心も出来るが、来る者来る者皆その絵を見て変な顔をすると随分心細いという。
なるほど実業家の客間へ毎日何人かの美術家が訪問するわけではないのだからあるいはそうかも知れないし、また日に五、六人も芸術家に[#「芸術家に」は底本にはなし]詰めかけられては、かなりうるさいことだろうし、また美術家というものはたまにやってきてもあまり他人の作品を賞めない傾向もあるものだから、無理もないことかも知れない。
他人に問うても自分にもわからないものを懸けて心配しているよりは、自分にわかるものを買って安心している方が安心であるというのである。
なるほどそれも道理だと私は思った。私はもう草臥れて饒[#「饒」は底本では「食へん+尭、第4水準2−92−57」になっている]舌《しゃべ》る興味もなくなっていたので、では君のわかる絵はどれだと聞いてみた。友人は各室を歩き廻って、会場中で一番つまらないと思われる花の絵を指して、これがいいといった。そして彼は剛情にこれを買うといって買約してしまった。私は友人のはっきりとした態度には感心した。
さてこの絵を探すためになぜ私が呼び出され
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