も新鮮にして小さな鹿が現れ、その斑点はことに鮮明で美しく、ぱっちりと眼を開いて珍しい新緑の世界を眺めるのだった。
私が不思議に打たれてぼんやりとしているうちに、子鹿はヒョッコリと立ち上がり、親の後ろへ従って早くも歩いて行くのである。
私はその簡単さに驚いた。春日神社へ行くと安産のお守を売っているがなるほどと私は感づいた。
男鹿がその威力を現すのは何といっても秋の交尾期だ。夜も昼も森の中で彼は叫び通して異性を呼んでいる。それは相当悲しむべき声である。そのもっとも大にして年経たものはすさまじき酋長の面構えで、多くの女鹿をしたがえて威張っている。
彼はこの季節になると軒に干してある手拭い、風呂敷、ハンカチーフの別なく何によらず時にはバケツでさえも彼の角をもってさらって行く。そしてどうするのかといえば、それを彼の巨大な角の先へ巻きつけて、女鹿の前をその勇壮な姿において行進して見るのである。それは新調のネクタイを彼女に見てもらい、学生がわざわざその帽子を破り、画学生がブルーズを汚すのとほぼ同じものらしいのである。なお彼は水溜りの中へもぐり込みその泥を全身に塗りつけて、とても手荒い相貌を製
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