ス[#「もっさりしたマチス」に傍点]といえば素描の力と認識不足のものであり、省略すべき処を略せず、拾うべき処を取落してしまった処の、垢じみてすっきりしない処のマチスかぶれの絵という事である。丹波篠山《たんばささやま》生れの鴈治郎《がんじろう》と熊本県人の羽左衛門《うざえもん》もまた、もっさりした種類と見ていい。
もっさりしたヴラマンクといえば、大体右と同じ傾向のもので即ちヴラマンクに似てはいるが本当のヴラマンクがその絵を見たら恐縮して風邪《かぜ》を引くであろう処のどす黒赤き拙劣な絵という事になる。その他もっさりしたシャガール、ボンナアル、ブラック等この言葉を上へ戴《いただ》くいろいろのものは現代日本には殊の外多いようだから特に重宝な言葉であるといっていい。
しかしながら、本当の田舎の、さも田舎らしくある処のものに対しては、このもっさり[#「もっさり」に傍点]という言葉はあて嵌《はま》らない、田舎で本当にさも田舎らしい女や男や料理に出会った時、それをもっさりとはいい得ない。それは、田舎の本筋のものだからかえってすっきりとしているのである。要するに田舎ものが、第一流のしゃれものを真似《
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