いうのは、もう月経も閉止する時分であるにかかわらず、急に何を感じてか、赤い襟《えり》をかけ出したり、急に素晴らしいネクタイをつけたり、禿頭《はげあたま》へ香水をふりかけて見たりし出した時に用うべき言葉である。近頃彼は急にぞけ出した[#「ぞけ出した」に傍点]とかいう。
 しんどい[#「しんどい」に傍点]とは、全くくたびれたという上にもっとなまぬるい複雑性が入り込んでいる処の、もっと軽い意味の、そしてどこかに深刻味のある、微妙なくたびれの心もちであり、一種のびやかな漫然としたつかれ心地を表すためにああしんど[#「ああしんど」に傍点]とかしんどうてたまらぬ[#「しんどうてたまらぬ」に傍点]とかいう、これも東京ではどんな言葉でいい表していいか私には見当がつき兼ねる。
 もっさりする[#「もっさりする」に傍点]という言葉は、何んでも本筋のものでなく田舎風で野暮《やぼ》でそのくせ気取っている処の、しかもしゃれてはいない処の、上等でもなく、美しくもない、多少きざに見える処の、何かゴタゴタして垢抜《あかぬ》けのしないものを指《さ》してもっさり[#「もっさり」に傍点]しているという。
 もっさりしたマチ
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