を訪れねばいいがと案じます。私はこの頃は二、三か月先のことは恐ろしくなりました。願わくば神様が私を守り下さいまして私にこのたのしき逢瀬《おうせ》を恵み給わんことを祈ります。あなたも祈りつつ待っていて下さいまし。私は小一里の道を歩行できるようになりました。また肺のほうはたいへんよくて、どの医師も心配しなくてもよろしいと申してくれます。痔は一生の持病として、今後しばしば煩わしき手術を受けねばならないことと覚悟しています。パウロが終世癒えなかった眼病を、神の与え給いし棘《とげ》として忍び受けたように、私も私の運命に甘え、自らに媚びる心を制するための神の賜物として甘受いたしましょう。私がもし、ほしいままな健康の消耗を生ずるごとき行を避け、謙遜に生を守りますならば、そうたやすく倒れはしますまい。私は病弱な貧しい素質ながら、私に残された領土をひらいて行きましょう。私は私の使命のために神に祈らずにはいられません。なにとぞ一生涯私の善き友であってくださいまし。私も一生涯あなたに背く気はございません。もし神のみ心ならば一緒に仕事をする時もありましょう。かく思う時、私は心の躍る心地もし、たのしき恐ろしき未
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