ん。私は一か月に原稿用紙に五百枚より多くはどれほど努力しても書けそうにありません。
庄原にいらした時のあなたの精力に比して、四分の一くらいしかエネルギーがありません。ですから「出家とその弟子」を六幕書いたのでも私はずいぶん努力がいりました。少し長くつづけて書いてるとすぐにからだにさわります。昔から病身でずいぶんたくさんな作をした人があります。よほど忍耐と勤勉とを要したであろうと察せられます。
私は今アヤスを読んでいます。フィロクテテスの時もそうでしたが、自分の呪わしき境遇を天地の名によって呻き訴えるところなどにほんとに底のある力を示していると思います。私は「人類の愛」という喜劇を描いています。「生命の川」は廃刊するのかもしれません。二月号を出すという通知もまだ来ないようなことですから。
私は語る友もなく侘しい新年を迎えて、あなたがたの東京での集いを少しお羨《うらや》ましく思っています。いずれ手紙は出しますが、みな様によろしく伝えて下さい。江馬さんが新年の雑誌にかいたものなど見せてもらって下さいませんか。ではいずれまた、たのしくお正月を送って下さい。少しは遊戯などもして正月らしくお
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