ましたね。あなたはあの学校に毎日寒さを冒して通学してるのですね。ソフトをかぶってマントを着て街《まち》を歩いていたあなたを思い出します。純な清らかなやさしき心を持ちたいというあなたのねがいはまた私のこの頃の最もせつなるねがいです。私はあなたのそのねがいをば正しき美しきものと信じます。そして私とゼーレの交通をなすにお互いにその境地に深く届き進むことができるようにはげましたいではありませんか。私はあなたの思って下さるほどけっして純ではありません。なにとぞ人間としての弱さ醜さ愚かさはだれにもあるものと知り、そしてそれを許して、励まして下さい。私の心にはどうしてこのように卑しい醜いものが住んでいるのだろう? 私はそれを怖ろしきことと思い、神様に祈っています。私は今朝もこう思いました、「私の心に訪るるものの中にありては祈祷の感情が一番深くなつかしいスイートなものである、よし、私は一日じゅう祈りの心持ちより遠い言行はいっさいすまい」と。そして神様に私を助けてしかせしめ給わんことを祈りました。私は神のエキジステンスなどを議論する気がないのです。私は私の祈りの心持ちの実験にたよります。そしてそのなかで
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