いかと思います。
私はあなたの将来の運命に非常に関心しています。好奇心からではなく、温かい人間的な愛をもって。何でも自分の本来の霊境にいたるまで自分になりきることだと思います。あなたが芸術家でないというのは私にはわかりません。あなたはりっぱな芸術家としての素質と運命を持っていられると信じます。あなたの不幸な性格――私流の見方から――深い冷たさと魂の孤独の奥には詩人としてのすぐれたリズムが響いているではありませんか。そこから一つの Religion さえも生み出されること、私は予感せられます。なにしろいろいろの Verwanderung は免れますまいが、あなたは哲学者でなくて芸術家だと思います。あなたの芸術のために祈ります。というよりも、あなたの芸術に生かされつつ深まさり行くところのあなたの魂のために祈ります。その魂は私のそれと同じく神のたくみで創られて、ひとつの神の属性を成し、異なりたる音色をもって共に天のシンフォニイに参ずるものと信じます。違った特色を発揮しましょう。そして互いにそれを認めて尊敬しましょう。そこに真の友情が成立するであろうと思います。私はあなたがあなたの作品にあな
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