のこの頃のお手紙は、真実が輝いて、私は厳粛な気持ちで読み、まじめに注意をひかれてきました。あなたの著しい特殊な性格は前から私は認めていたのですが、この頃ますますその光が出てきだしたような気がして、それに向き合う私の心持ちは緊張します。私は何よりもあなたを一種の深い優れた性格として承認せざるをえません。それがどのようにして神と民との持物になるかは私にはまだ知るよしはありませんが、私はその行くべきところまで成長を遂げることを心から希んでいます。私もあなたの性格と私のとの相違を感じます。あなたの強い、冷たい、すぐれた知力と意力とは私をある意味で圧迫します。高山の霊を呼吸し、淋しい孤独のたましいを、森や湖と通わす超人のような感じがします。ただ願わくばあなたの特長を生かしきって下さい。そこに必ず普遍性が現われて、万人と和らぐ道が通じることを信じます。あなたに Herz が欠けているとのお言葉に私は深く響きました。普通の意味ではそのとおりでしょう。私はそれも認めます。そしてその自認からあなたの運命が輝かされて、大きな 〔u:bermenschlich〕 な Herz が創《つく》り出されるのではな
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