で生きます。私はあなたのこの前のお手紙を対抗的には感じませんでした。私はあなたの歩みを承認し、愛の眼で見守りましょう。私たちは遠慮なくおのおのの歩みに忠実であって、姑息な礼譲から、したいこともせずに置くようなことは必ずやめましょう。私たちには性格の強さが必要です。時として私は自分を偽っているように感じて、窮屈な気のすることもあります。私はこれからは、ことに秋から東京で日夕往来するようになれば、今よりもっと自由にふるまわせていただく気でいます。refuse したいことを refuse できないような友情はいやですからね。
私はこの頃生活が晦渋《かいじゅう》してはかどりかねているかたちです、どうも私の起こす感情には affection が多くて確かでない。もっとたしかに、甘えずに――と、こう考えています。カソリックの坊主になりたい、出家したい、乞食《こじき》になりたいというようなことを心に描いては、すぐにそれがなかなかできないことを悟ります。それくらいなことは初めからわかりそうなものだに、私にはわからないのです。自分の発心がどこまで確かであるか、自分の魂の力はどれくらいなものか、私の器量
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