てお絹さんが一燈園に来るか、来ないかは、わかりません。私はお絹さんの運命に没交渉ではいられません。一燈園に来なければ新しい職の得らるるまで、私の家にでもいてもらいます。そしてこの後もお絹さんを愛します。ただ私の今あくがれている宗教的生活を捨てることはできません。私はどうかしてともに同じあくがれに進むことができれば幸いだと思います。しかしそのようなことは自由には参りません。私はお絹さんの心に任せます。私はお絹さんがいとしくてなりません。そのうちに何とか解決がつくことと存じます。今は向こうから少しも便りがないのでまったく困っています。解決がついたらお知せいたします。どうぞ私たちの運命のためにお祈り下さい。
私はこれから根本的にひとりの人間として地上に置かれたる Mensch としての生活をやり直さねばなりません。つまり衣食をも父にたよらずに神に頼って暮らす工夫をしなくてはなりません。天香師はその方面に私を導いて下さるそうです。
私のこれまでにしてきた生活は、私が uneasy であるのはあたりまえだ、と天香師は申されました。そしてパンを父に頼って、贅沢《ぜいたく》な生活をしていることを
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