く)清盛《きよもり》はどうしている? 平氏の運命は? わしに信じられないほど残酷《ざんこく》な運命が平氏をどう扱うか、わしはそれが知りたい。
有王 世は澆季《すえ》になったと思われまする。平氏はますます栄えはびこり、その荘園《しょうえん》は天下に半ばし、一族ことごとく殿上《てんじょう》に時めき「平氏にあらざるものは人にあらず」といわれております。清盛が厳島《いつくしま》に参詣《さんけい》する道を直《なお》くするために切り開かした音戸《おんど》の瀬戸《せと》で、傾く日をも呼び返したと人は申しまする。法皇は清盛の女《むすめ》の胎《はら》から生まれた皇子《おうじ》に位を譲《ゆず》られる、と聞いております。あらゆる暴虐《ぼうぎゃく》に飽《あ》いた身を宮殿をしのぐような六波羅《ろくはら》の邸宅の黄金《こがね》の床に横たえて、美姫《びき》を集めて宴楽《えんらく》にふけっております。天下は清盛の前に恐れ伏し、平氏にこびへつらい何人もあえて対抗しようとするものはありませぬ。
俊寛 成経はどうした。都《みやこ》に帰れば隙《すき》をうかがって復讐《ふくしゅう》することができるといった成経は?
有王 成経殿
前へ
次へ
全108ページ中91ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
倉田 百三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング