ことがある日をあけくれ待ちわびていました。けれど七年がむなしく過ぎました。待ちあぐんだ末、私は堪《た》えきれなくなって人目を忍《しの》びこの島に尋《たず》ねてまいりました。せめて今生に一度だけでもお目にかかりたいと思って。
俊寛 あゝ、お前にふたたび会えようとは! はるばると来てくれたか。わしのすべての友、すべての家来がわしを見捨てたのに。この島の漁師《りょうし》さえわしをあなどり、餓鬼《がき》を恐れるようにわしを避《さ》けようとするのに。
有王 私の尊いご主人様、私はあなたのために命を惜《お》しみませぬ。幼い時からあなたに受けたご恩を思えば、私はよろこんであなたのために死にまする。
俊寛 わしは絶望のあまり幾度も幾度も死にかけた。深い海やけわしい岩かどは、絶え間なくわしを死に誘《さそ》うた。だがわしの妻子の愛着がわしを死なせなかった。この地上のどこかで妻や子が生きているのだと思えばわしは死ねなかった。しかもきっと不幸と恥辱《ちじょく》との中に。有王よ、わしは妻子の安否《あんぴ》を気づかった時、いつもお前のことを頼みにしていた。すべての家来はそむき去っても、お前だけはきっと最後まで命を
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