したい。
俊寛 (後ろを振り向く)
有王 わしは都《みやこ》から来た者だが、(俊寛、都と聞いて驚いて有王を見る)この島に法勝寺《ほっしょうじ》の執行《しゅぎょう》俊寛|僧都《そうず》と申す方が十年前よりお渡りになっているはずだが、もしやご存じあるまいか。
俊寛 (驚きのためまっさおになる。何か言いかけてくちびるをひきつける。やがてつくづく有王を見る)有王だ! (有王に抱《だ》きつく。やがて反射的に有王を放《はな》し顔をおおう)あゝ、わしは恥ずかしい。
有王 (驚きて俊寛を見る)お前はだれだ。わしの名を知っているお前は。
俊寛 有王よ。わしだ。俊寛だ! (有王に抱きつく)
有王 (驚き、つくづくと俊寛を見る)あゝ、ご主人様だ! (俊寛を抱く)
俊寛 あゝ、わしはわしは。(慟哭《どうこく》す)
有王 おなつかしゅうございました。(愛憐《あいれん》の情に堪《た》えざるごとく)あなた様のこのお変わりようは!
俊寛 わしの姿《すがた》を見てくれい。
有王 あゝいたわしや、ご主人様。よく生きていてくださいました。どうしてこの十年をお過ごしなされました。この荒い島で、ただ一人で。(泣く)
俊寛 わし
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