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有王 (あたりを見回しつつ)なんと言う荒れた島だろう。都《みやこ》にいる時|鬼界《きかい》が島のさびしいことは聞いていたが、これほどだろうとは思わなかった。ほんとうに鬼《おに》でも住むような島だ。この島で一日と暮らせようとは思えない。あゝご主人さまはこの島で、七年もただ一人で暮らさなければならなかったのだ。もしやもはやお果てなされたのではあるまいか。この島中を山をよじ浜辺《はまべ》を伝って捜したけれどもそれらしい人も見あたらない。もしか絶望のあまり岩かどに頭を打ちつけて自殺でもなさりはすまいか。いやいやそんなことはあるまい。奥方や若君の安否《あんぴ》もわからぬ先にそのようなことはなさるまい。(岩のほうに行く)
俊寛 (岩陰よりいで去らんとす)
有王 (俊寛の姿《すがた》を見て驚き、二、三歩後ろにさがる。小声にて傍白)あれはなんだろう。あの恐ろしい姿は! わしは餓鬼《がき》道へでも迷って来たのではあるまいか。いや、やはり人間のようだ。尋《たず》ねてみよう。(俊寛の後ろより声をかける)ちょっと、物をお尋《たず》ねいた
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