ぞ。ほえるとこの流人のようにぶたれるぞ。
漁夫二 (俊寛を突きやり)失《う》せろ、流人め。二度とこんなまねをしやがったら、生かしてはおかないぞ。
漁夫一 二度とこの界隈《かいわい》にうろつくな。
漁夫二の妻 いやなやつだね。あんなのを餓鬼《がき》というのだろうよ。
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから5字下げ]
三人退場。
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
俊寛 (立ち上がり、あたりを見回す)あゝ、何というみじめさだ。(走り行き岩かどに頭を打ちつけんとして躊躇《ちゅうちょ》す)あゝ死ね! 死ね! (地に伏す)あゝだめだ。これでもわしは死ねないのか。(慟哭《どうこく》す。やがて岩かどに腰をかける。ふとそこに落ちいたる魚を見つける。無意識に拾い上げて食わんとす。この時犬の群れのほゆる声起こる。ぎょっとしてあたりを見回す)しっ。しっ。(犬ますますほえる。俊寛、石を拾う)畜生《ちくしょう》! (石を投げる。犬の声静まる。魚にかじりつく)
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから5字下げ]
有王登場。俊寛人の気配《けはい》に岩陰《いわかげ》に隠《かく》れる。
前へ
次へ
全108ページ中83ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
倉田 百三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング