しはどうして生きてくることができたのだろう。四季の移り変わりと月の盈虧《みちかけ》がなかったら、どうして月日さえ数えることができたろう。何よりも苦しいのは食物がないことだ。わしはいつも餓鬼《がき》のように飢《う》えていなければならない。もう弓を引く力もなくなった。水くぐる海士《あま》のすべも知らない。(ふと岩陰《いわかげ》を見る)見つけたぞ! (岩陰《いわかげ》に飛びゆき)待て。かにめ。(あわて捕《とら》えんとす)えゝ逃げおったわい。(がっかりする。考える)あゝわしは餓鬼《がき》だ。少しの食物を得るためにどんなにあさましいことをしなければならないか。
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この時岩かどにとまりいたる兀鷹《はげたか》空を舞い、矢のごとく海面《うみづら》に降《お》り魚を捕えたちさる。
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俊寛 あゝわしはあの兀鷹がうらやましいわい。
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漁夫《ぎょふ》一登場、※[#「土へん+累」、311−6]《びく》を岩の上に置き網《あみ》を打つ。
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