わり]
[#ここから5字下げ]
波の音、松風の音、その間を時々山の鳴動。
[#ここで字下げ終わり]
[#改ページ]

   第三幕

     第一場

[#ここから5字下げ]
舞台、第一幕に同じ。岩多き荒涼《こうりょう》たる浜辺《はまべ》、第二幕より七年後の晩秋。
[#ここで字下げ終わり]

[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
俊寛 (やせ衰《おとろ》え、髪《かみ》をぼうぼうとのばし、ぼろぼろに破れ、風雨のために縞目《しまめ》もわからずなりたる着物をきている。岩かどに立ちて、嘆息しつつ海を眺める)あゝだめだ。まただまされた。何百度だまされればいいのだ。康頼めがなまじいに迎えによこすと言ったばかりに! 苦しまぎれにいいかげんなことをいったのだ。その場限りの慰《なぐさ》めだ。それが何のあてになるものか。それをお前は知ってるくせに。愚《おろ》か者! 未練《みれん》なわしよ。あゝわしはもう自分に頼る気もなくなった。どうしてわしは死んでしまわないのだ。この岩かどに頭を打ちつければ、この悪夢のようなわしの生涯《しょうがい》は閉じるのではないか。あゝ想像もつかない恐ろしい七年が経った。わ
前へ 次へ
全108ページ中79ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
倉田 百三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング