て1字下げ]
俊寛 (衣を引き裂《さ》く。狂うごとく打ちふる)おーい。康頼殿。
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答えなし。この時|雷《らい》のとどろくごとく山の鳴動《めいどう》聞こゆ。
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俊寛 (ふるえる)助けてくれ!
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答えなし。
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俊寛 (絶望的に)だめだ! (地に倒れる。立ち上がる)鬼《おに》だ。畜生《ちくしょう》だ。お前らは帰れ。帰って清盛《きよもり》にこびへつらえ、仇敵《きゅうてき》の前にひざまずいてあわれみを受けい。わしは最後まで勇士としてただ一人この島に残るぞ。この島で飢《う》えて死ぬるぞ。
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も一度激しき山の鳴動。
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俊寛 (思わず叫ぶ)助けてくれ! (地に伏す。間。必死の力を出して立ち上がりよろめきつつ)わしはこの島の鬼となるぞ!
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