界は悪魔の手に渡すがいい。悪魔よ来たれ。わしは汝に今こそ親しく呼びかけるぞ。わしは三界《さんがい》に怨霊《おんりょう》というもののできる理由を今こそ知った。わしのごとく遇《ぐう》せられて死んだものの霊が、怨霊《おんりょう》にならずして何になるのだ。(月雲にかくる)あゝ信頼《のぶより》の怨霊よ。成親《なりちか》の怨霊よ。わしにつけ。わしにつけ。地獄《じごく》に住む悪鬼《あっき》よ。陰府《よみ》に住む羅刹《らせつ》よ。湿地《しっち》に住むありとあらゆる妖魔《ようま》よ。みなその陰気なる洞窟《どうくつ》をいでてわしのまわりにつどえ。わしはわしの霊を汝らの手に渡すぞ。わしはわしに生を与えたるものにそむき、永劫《えいごう》に汝らに属することを誓《ちか》うぞ。わしの誓いのしるしを受けい。(俊寛石を拾いおのれの胸、顔等をうつ、皮膚《ひふ》破れて血ほとばしる。地に倒れ、また立ち上がりて狂えるごとく衣を裂《さ》く)あゝ悪魔よ。わしの呪《のろ》いをいれよ! (岩かどに突立つ。烈風|蓬髪《ほうはつ》を吹く。俊寛両手を天に伸ばす)わしはあらゆる悪鬼の名によって呪うたぞ! 清盛《きよもり》は火に焼けて死ね。宗盛
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