時。第二場の直後。烈風《れっぷう》吹き、波の音高し。荒れ狂う海の上に利鎌《とがま》のごとき月かかる。雲足《くもあし》はやく月前をかすめ飛び舞台うす暗くなり、またほのあかるくなる。俊寛よろめきながら登場。幾たびか岩かどにつまずきては倒れ、また起きあがる。息を吐《つ》きつつ後ろを透かしながめ、よろめきつつ岩をよじ上《のぼ》り、けわしき巌《いわ》かどに突き立つ。手足、顔のところどころ傷つき血痕《けっこん》付着す。月雲を離れ、俊寛の顔を照らす。
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俊寛 (月をにらみつつ)いかに月天子《げってんし》、汝《なんじ》の照らすこの世界をわしは呪《のろ》うぞよ。汝の偶たる日輪《にちりん》をも呪うぞよ。かつては汝らの名によってこの世界に正しき律法あることを証《あかし》したこともあったが、今は悪魔の名によってそれを取り消すぞ。あゝこの世界をわしは憎《にく》む。わしが生きている間、わしをいかに遇《ぐう》したか。それをわしは永劫《えいごう》に忘れぬぞ。この世界はゆがめる世界だ。善が滅び悪が勝つ世界だ。あゝ、なきに劣《おと》る世界だ。かかる世
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