えます。私はあなたがたを忘れません。別れていてもあなたがたのために祈ります。
左衛門 私もあなたを一生忘れません。あなたのために祈ります。
お兼 おからだを大切になさってくださいまし。(涙ぐむ)
慈円 夜も明けはじめました。
良寛 雪もやんだようでございます。
親鸞 ではさようなら。
左衛門 さようなら。
お兼 さようなら。(松若に)おい、さようならをおし。
松若 おじさん、さようなら。
親鸞 (松若を衣の袖《そで》で抱く)さようなら。大きく偉くおなりなさいよ。
慈円 さようなら。
良寛 さようなら。
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親鸞、慈円、良寛、退場。左衛門、お兼、松若、涙ぐみつつ見送る。
[#ここで字下げ終わり]
[#地から4字上げ]――幕――
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第二幕
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場所 西《にし》の洞院《とういん》御坊。
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本堂の裏手にあたる僧の控え間。高殿になっていて京の町を望む。すぐ下に通路あり。通行人あり。
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人物 親鸞《しんらん》 七十五歳
松若《まつわか》改め唯円《ゆいえん》
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