うだ。
勝信 え。そんなことはありますまい。(自分の考えを信じようとするように努力しつつ)お話などおきげんよくあそばすのですもの。
唯円 それが前ぶれなのだそうだ。消えかかる灯火がちょっと明るくなるようにな。もうお脈搏《みゃくはく》がおりおりとぎれるのだそうだ。いつ落ち入りあそばすかも知れない。無病で高齢のかたの御最後は皆そのようなふうのものだから、たのみにはならないとおっしゃった。もうあきらめて、ひたすら、思い残しのない御臨終を……
勝信 おゝ、私に代わられるものなら!
唯円 私もいく度そう思ったろう。だがそれもかいないことだ。お師匠様はもうとくに御覚悟あそばしていらっしゃる。もう仏さまに召されるのだとおっしゃってな。
勝信 ほんにこのごろはお話もことに細々として来たようでございます。そして御臨終の事が気になっていらっしゃるようでございますよ。きのうも私にあの上品往生《じょうぼんおうじょう》の発願文《ほつがんもん》を読んでくれとおっしゃいましてね。
唯円 この上はせめてやすらかな御臨終をいのりたてまつるほかはあるまい。(考える)
勝信 唯円様。私はいつも気になっているのでございますが
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