大きな不幸がやがて地上におとずれる前ぶれのように。(門の内を見る)お輿《かご》が来るようだ。お医者さまのお帰りなのだろう。(門のほうに行く)
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輿一丁門より出る。
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唯円 (輿の後ろに従うて登場。門の出口に立つ)気をつけてお越しあそばしませ。
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勝信、門口に立ち腰をかがめて見送る、輿の中より何か挨拶《あいさつ》の声聞こゆ。輿去る。
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唯円 (しおれて沈黙したまま立っている)
勝信 お医者はなんとおっしゃいますか。
唯円 (絶望したように)あゝ。人類はその最大なものを失うのか。
勝信 では、やはりもつまいと……
唯円 (じっとしていられぬように庭をあるく)橘《たちばな》様の御殿医《ごてんい》のお診察《みたて》も侍医のお診察《みたて》も同じことなのだ。寿命のお尽きとあきらめられよとのお言葉なのだ。
勝信 なんとかしてとりかえすてだてはないのでしょうか。
唯円 それどころではない。きょうかあすかも知れないのだそ
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