(泣き声にて)ねえさん。ひどいよ。ひどいよ。
お利根 だからあげようと言ってるのだわ。
お須磨 あたしの番だのに、自分ばかりつくのよ。
お利根 かんにんだったのよ。
お須磨 うそだよ。うそだよ。
勝信 後生だから。きょうばかりはけんかなどしておくれでない。
お利根 かあ様。泣いてるの。
お須磨 かあさま。かあさま。(すがりつく)
勝信 お師匠様がたいへんお悪いのだよ。それでみんな心配しているのだよ……ほんとに何もしらないで。(涙ぐむ)空飛ぶ鳥でさえ羽音をひそめて憂鬱《ふさ》いでいるような気がするのに。
お利根 かあさま。もう泣かないで。あたしどうしましょう。(お須磨に)須磨さま。ごめんなさい。
お須磨 もうけんかしないわ。かあさま。
勝信 (二人の子を抱く)仲よくするのですよ。さ、きょうはもう内へはいって、静かにしてお部屋《へや》でお遊び。
お須磨 かあさまは?
勝信 私は少し用があります。あとで行くからね。
お利根 そうお。
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二人の少女門より退場。
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勝信 空ゆく雲もかなしそうな気がする。
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