着したというのですね。この淫縦《いんじゅう》な決心に。あきれます。私は浅ましい気がいたします。あなたは何かに憑《つ》かれているのではありませんか。
僧三 破戒だ。おそろしい。(間)これはまったく悪魔の誘惑にちがいない。
唯円 (ため息をつく)
僧一 唯円殿、私はしつこくは申しますまい。私はあなたの一すじな気質を知っていますからな。私はきょうまであなたを愛していたつもりじゃ。ただも一度だけ申します。考えてみてください。静かに、心を落ち付けて。あなたは興奮していられる。恋は知恵者の目をも曇らすものだでな。私はお寺のため、法のためを思わずにはいられませぬ。また何百という若いお弟子《でし》たちのことを慮《おもんぱか》らねばなりませぬ。あの迷いやすい羊たちの群れをな。若い時の心はわしも知っている。あなたが女を恋しく思われるのを無理とは思いませぬ。その儀ならば、幸いに当流は妻帯をいとわぬことゆえ、しかるべき所から、良家の処女を申し受けても苦しくない。私に心当たりもあります。しかし素性も知れぬ遊女とはあまり理不尽と申すものです。世間ではこのごろ当流の安心《あんじん》は悪行をいとわぬとて非難の声が高い
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