も言えるとさえおっしゃいました。
僧三 お恥じなさい、唯円殿。(声を荒くする)あなたは女遊びと信心とを一つにして考えるのですか。
僧二 お師匠様の名によって、おのれの非を掩《おお》おうとするのは横着というものです。いったいお師匠様はあなたを買いかぶっていられます。あなたは寵《ちょう》に甘えています。
僧三 素性も知れない遊女におぼれて、仏様への奉公をおろそかにし、そのうえあれこれと小さかしく弁解する。いったいならただおそれ入ってあやまらねばならないところです。私たちの若い時には、このような所業をしたものは寺の汚れとしてすぐに放逐されたものです。
僧二 卑しい遊《あそ》び女《め》などの言葉をまに受けてたまるものですか。おめでたいといっても限りがある。たいていわかったことではありませんか。それ、下世話によく申す、「後ろに向いて舌をべろり」――このような言葉はあまり上品なものではありませんけれどね。
唯円 (いかる)あなたは一人の少女《むすめ》の心をあまり見くびっていらっしゃいます。また僧だから尊い、遊女だから卑しいというような考え方は概念的ではありませんか。僧の心にでも汚れはあります。遊女
前へ 次へ
全275ページ中204ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
倉田 百三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング