強いものでしてな。気を悪くしてはいけませんよ。まったくあなたは興奮していられますよ。だがこうして話しているうちにも、あの女はほかのお客に抱かれているかもしれない。
唯円 あゝ。それを言われては! (興奮する)私は自分のねうちのないことはよく知っています。また、あの女のからだの汚れていることも知り抜いています。けれどあの女の心がほんとうに私のものであることは疑うことができません。
僧三 そしてあなたの心があの女のものであることもでしょう。(くちびるに笑いを浮かべる)幾千万のおめでたい若者が昔からそのとおりに言いました。そして後悔するときは、もう自分の浮かぶ瀬は無くなっていました。だから君子は初めよりその危うきに近づきません。知者は、自身の身の安全の失われない範囲で女の色香をたのしみます。あなたのは身をもって、その危うさの中に飛び込もうとするのです。なんの武装もなしに。痴と言おうか。稚と申そうか。なにしろ女遊びは火をもてあそぶよりも危険ですよ。
唯円 けれど真剣な事は皆危険なものではありますまいか。お師匠様も真理は身をもって経験にぶつかる時にばかり自分のものになる。信心なども一種の冒険だと
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