]なのだ。人間はどのように愛し合っていても、いつもいっしょにいられるものではない。別れていて祈りを通わすほかは無い。お前とおれでもそのとおりだ、もうじきお別れしなくてはならない。今度はいつ会えるかわからない。別れてもおれのために祈ってくれ。おれもお前のしあわせを祈るからとおっしゃいました。
かえで 善鸞様は唯円様をたいへんお好きなさいましたね。
浅香 あんな温《あたた》かい、純潔な人は無いと言って、いつもほめていらっしゃいました。
かえで 唯円様も、善鸞様を皆が悪く言うのはわけがわからないと言っていらっしゃいました。
浅香 あのかたは善《よ》い心が傷つけられたために、調子が狂って来たのです。いったん心の調子が狂うと、なかなか元には返りませんからね。それには始終そのすさんだ心を温《あたた》め潤す愛がはたになければなりません。それだのにあのかたの周囲には、その愛が欠けている代わりに、呪《のろ》いとさげすみとが満ちているのですもの。
かえで あのかたはまたその他人の非難を気にかけずにいられるような人ではありませんでしたからね。自分では強そうな事を言っていらっしゃるくせに。いつかも私にお前はお
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