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かえで 善鸞様からおたよりがありますの。
浅香 えゝ、おりおり。
かえで お国ではどうして暮らしていらっしゃるの。
浅香 やはりお寺にすわっていらっしゃるのよ。しきたり[#「しきたり」に傍点]で仏様は拝むけれど、ほんとうは何も信じられないで、心はだんだんさびれて行くばかりだとお手紙に書いてありました。
かえで あのようなさびしいかたはありませんね。つきあえば、つきあうだけ、どんなに心の奥に、不幸を持っていらっしゃるかが思われるような気がしました。
浅香 善鸞様はほんとうはおとう様に会いたくて京にいらっしゃったのよ。けれどおとう様のお身のためや、お弟子衆《でししゅう》や、親戚《しんせき》のかたの心持ちや、いろいろな事を考えて、とうとう会わない事に決心なすったのよ。
かえで ではさびしいお心で御帰国なすったでしょうねえ。
浅香 おいとしいと言うよりも、あわれなと言うくらいでしたよ。(間)けれど唯円様のおかげでおとう様のお心持ちがよくわかったので、たいへん安心なさいました。別れていて互いの幸福を祈る――すべての人間は隣人としてそうするのが普通のさだめ[#「さだめ」に傍点
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