えで あなたはよく私をかぼうてくださいました。
浅香 あなたが死にかけた時にはどんなに驚いたでしょう。
かえで 辛抱おし。何もかもわかっている。私も同じ思いを忍んで来たのだ。何事も国のおかあさんのために。とあなたは泣いて止めてくださいました。
浅香 でもよく聞き分けてくだすったわね。それから互いの身の上話になって、二人で話しては泣いたのね。
かえで まるで数でもかぞえるように、互いのふしあわせを並べ立てて――
浅香 なぜ私たちはこのように不幸なのでしょうと言って二人で考えたのね。そしたらわけがわからなくなってしまって、とうとうあきらめるよりほかはないということでおしまいになったのね。
かえで あの時から二人はいっそうの事親しくなったのね。
浅香 何もかも打ち明けおうて。
かえで (浅香の顔を見る)見捨ててはいやよ。
浅香 あなたこそ。
かえで ねえさん、手をかして。
浅香 はい。(手を延ばす)
かえで (浅香の手を胸のところで握り締める)ねえさんのお手の冷たいこと!
浅香 私は冷え性なのよ。
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二人しばらく沈黙。
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