っしゃってくださるのよ。
浅香 (涙ぐむ)よくよくまじめな熱いお心だわね。
かえで 唯円様はそれはまじめよ。私と会っている時でもどうかするとすぐ説教のような堅い話になるのよ。私はまたそのような話を聞くのがうれしいの。むつかしい顔をして、美だの、実在だのと、私にはよくわからないような事をおっしゃる時のあのかたがいちばん好きなのよ。
浅香 (ほほえむ)それでまだ一度も何しないの。
かえで (まじめに)えゝ。そのような事はちょっともないのよ。
浅香 ほんとにあのような人はあるものではない。よくしてあげなさいよ。
かえで それは大切にしますわ。私はもったいないと思っていますのよ。
浅香 私もあのかたは心《しん》から好きです。あなたが、いやな、卑しい人と何するのなら、私お手紙のお取り次ぎなんかまっぴらだけれどね。
かえで ほんとにお世話になりますわね。唯円様もあなたを好いていらしてよ。このあいだもあなたの事をいろいろ気にしてたずねていらしてよ。そして幾度もありがたいといっていられました。
浅香 このあいだの夜はいい都合だったのね。私はふと門口に出て見たら、あのかたが月あかりのなかをうろうろしてい
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