しかって。(ほほえむ)
かえで それはねえ。だけど私たちは悲しいほうが多いのよ。そして泣いたわ。
浅香 どうして?
かえで 二人いるとひとりでに悲しくなるのよ。それにあのかたはどうかするとすぐに涙ぐみなさるのですもの。
浅香 優しいんですからね。あなたがたは会うとどのような話をするの。(ほほえむ)
かえで (うれしそうに)それはいろいろの事を話しますわ。会いたかった事や手紙の事や、身の上話や、それから行く先々の事や――
浅香 (まじめに)行く先々どうすると言って。
かえで いっしょになるといって。(口早に)私はすまないというのよ。私はこのような身分ですから捨ててくださいというのよ。けれど唯円様はどうしてもいっしょになろうとおっしゃるの。真宗では坊様でも奥様を持ってもいいのですって。
浅香 ではからだの汚れている事も知っての上で。
かえで えゝ。それを思うと苦しくて夜も眠られなかった。しかしその苦しみに打ちかった。あなたのからだの汚れたのはあなたの罪ではなく、あなたの不幸だとおっしゃるのよ。そればかりでなく、たとい、あなたが自分で自分のからだを汚していたとしても私はゆるして愛する気だとお
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