事だけれど、ぶつのはあまりだ。言って聞かせればよかりそうなものだのに。
かえで きっと村萩さんが告げ口をしたのよ。今晩もおかあ[#「かあ」に傍点]さんのそばにいて、意地悪い皮肉や、針のあるいやみをならべましたわ。
浅香 村萩さんもかえ、皆して小さいお前をいじめるなんて。(間)村萩さんはさっきまでここで話して行ったのだよ。お前は気が高くてねえさんたちを軽《かろ》く見ていると言っておこっていたよ。それにお前が打ち明けないのが気に入らないのだよ。
かえで いやなことだ。あの人に打ち明けるなんて。自分の心の内に守っている大切な恋を、軽いチョコチョコした心ない人に安っぽく話す気になれるものですか。私ほんとうにねえさんきりよ。何もかも打ち明けるのは。また私が気が高いって言うのはほんとうかもしれないわ。いつかねえさんが私におっしゃったでしょう。どのような身になっても心に何かのほこりというものを持っていない女はきらいだって。
浅香 (涙ぐむ)よく覚えていてくれた。あゝ、けれど人様から卑しきもののたとえに引かれる遊女の身で、そのような事を考えているのはばかげているかもしれない! かえでさん。私は何も言う
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