かあ[#「かあ」に傍点]さんがおこりだすと、しつこくてめんどうですからねえ。
浅香 それはねえ。(考え込む)
村萩 私はかえでさんは若くはあるし、ああなるのも無理はないとは思うのよ。私だって覚えの無い身ではないし。けれどかえでさんはあんまり聞き分けがなさ過ぎると思ってよ。勤めの身でいてまるで生娘《きむすめ》のような恋をしようとするのですからね。
浅香 それはおかあ[#「かあ」に傍点]さんで見れば、困る事もありましょうけれどね。
村萩 なにしろ稼業《しょうばい》になりませんからね。それにかえでさんは私なんかには何も打ち明けないで、内緒にばかりしているんですからね。こうこうだから頼むと言えば、私だって、都合をつけて、一度や二度は会わしてあげないものでもないのだけれど、あれではかわいらしくありませんからね。
浅香 お花にならずに、かくれ遊びをしているのだから、気がとがめて打ち明けられないのでしょうよ。
村萩 けれどあの人は気が高すぎます。きょうもこそこそ出かけていたから、私がどこへ行きますときいたら、白ばくれてちょっとそこまでと言うのよ。私は少ししゃくだったから、へえ、ちょっとお寺まででしょ
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