をしていましたよ。
浅香 もうまもなく咲くでしょう。
村萩 皆で花見に一日行こうではありませんか。
浅香 そうね。(沈む)
村萩 それはそうとかえでさんはまだ帰らないの。
浅香 えゝ。まだですの。
村萩 どこへ行ったのでしょう。
浅香 ちょっと清水《きよみず》へお参りして来ると言って出たのですがね。
村萩 ずいぶんおそいのね。
浅香 もうおっつけ帰るでしょう。なにしろまだ子供ですからね。
村萩 そうでもないようよ。(間)実はね。おかあ[#「かあ」に傍点]さんが私に腹を立てて話してましたよ。
浅香 なんと言って。
村萩 かえでのやり方は横着だ。そのような若い小僧あがりのような者に身を入れて、家の勤めがお留守になる。お銭《あし》なしに稼業《しょうばい》をしている女と遊ぼうとするのは虫がよすぎる。ほかの客を粗末にして困ってしまう。それに浅香も浅香だって。
浅香 私の事も言ってましたか。
村萩 えゝ、浅香が仲に立って取り持っているらしい。妹分を取り締まらなくてはならない身で不都合だと言っていましたよ。
浅香 そんな事を言っていましたか。
村萩 ぷりぷりしていましたよ。気をつけないと、またあのお
前へ 次へ
全275ページ中175ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
倉田 百三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング