子供三 幾つ並んでるの。
子供四 (数える)六つよ。
子供一 四つ目のは首がないのね。
子供二 あゝ、わかった。これは六地蔵というのでしょ。
子供三 地蔵さんてなあに。
子供四 仏《のう》さまでしょう。
子供一 ではこの花をあげましょうよ。(籃《かご》の中から野菊を出して地蔵の前に立てる)
子供二 皆おがみましょうよ。(ひざまずき手を合わす)
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子供一同代わる代わるひざまずき手を合わす。
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子供一 あの森のなかの塔のほうに行ってみなくて。
子供二 えゝ、行ってみましょう。
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子供たち森のなかにはいり、歌いつつ退場。
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かえで 子供は無邪気なものね。(考えている)
唯円 まったく罪がありませんね。
かえで なんの苦も無さそうに見えるのね。(間)私も一度あのころに返ってみたいわ。あのころはしあわせだったわ。まだおとうさんが生きていらっしゃるころは。
唯円 あなたにはおとうさんが無いのでしたね。私にはおかあ
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