躇《ちゅうちょ》する。やがて、そこここを、捜しては摘む。摘みつつ歌う。かえでは子供をじっと見ている。
[#ここで字下げ終わり]
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子供一 ここにつくし[#「つくし」に傍点]があった。
子供二 そう。(見る)ほんに。皆つくしを摘みましょうよ。
子供一 (つくしを手に持って歌う)一本摘み初め。(捜しつづける)
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子供たちつくしを捜す。
[#ここで字下げ終わり]
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子供二 見つけた。(歌う)二本摘み添え。
子供三 ここにもあってよ。ずいぶん大きくてよ。
子供四 私も見つけた。私のほうが大きくてよ。
子供三 比べてみましょう。(二本あわせて丈《たけ》を比べる)
子供四 私のが少し長いわ。
子供三 くやしいね。
子供一 皆、来て御覧、ここにお地蔵さんが小さなよだれかけ[#「よだれかけ」に傍点]をしていらしてよ。
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子供たちそちらに行きて見る。皆笑う。
[#ここで字下げ終わり]
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子供二 赤ちゃんみたいね。(地蔵の頭をなでる
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