たがたといこれまで自分でどのようなきたない罪を犯していらしっても、私はそれをゆるしてあなたを愛する気なのです。
かえで (涙ぐむ)まあ、それほどまでに私を愛してくださいますの。
唯円 (痙攣的《けいれんてき》にかえでを抱く)永久にあなたを愛します。あなたは私のいのち[#「いのち」に傍点]です。
かえで (唯円の胸に顔を押し当てる)いつまでも、かわいがってくださいよねえ。
唯円 いつまでも。いつまでも。
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両人沈黙。叢《くさむら》の陰から子供の歌がきこえる。やがて子供四人登場。女の子ばかり。手ぬぐいをかぶり、籃《かご》を持っている。唯円、かえで離れる。
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子供一 (歌う)蕗《ふき》のとう[#「とう」に傍点]十になれ、わしゃ二十一になる。
子供二 見つけた。(蕗《ふき》のとう[#「とう」に傍点]を摘む)
子供三 ここにもあってよ。
子供四 入れてちょうだい。(籃《かご》をさし出す)もうこんなにたんと[#「たんと」に傍点]になってよ。
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子供たち唯円とかえでを見てちょっと黙って躊
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