行が似つかわしいとおっしゃいました。私はいっそ罰を受けたい気がする。私は滅びの子だと言ってお泣きあそばしました。私はあのかたがおいとしくてたまりませんでした。
親鸞 も少し素直になってくれたらな。人にも自らにも反抗的になっている。罰を受けたいというのは甘えている。地獄の火の恐ろしさを侮っている。指一本焼ける肉体的苦痛でもとても耐え切れるものではないのだ。(間)彼はまだ失うべきものを失うていないと見える。
唯円 善鸞様は今なくなられたら魂はどこに行きます?
親鸞 (苦痛を耐えるために緊張した顔になる)地獄に堕《お》ちる……
唯円 おゝお師匠様、善鸞様に会ってあげてください。助けてあげてください。あなたはあのお子がいとしくはないのですか。
親鸞 …………
唯円 あなたはきびし過ぎます。あのかたにだけひど過ぎます。あなたはもし善鸞様があなたのお子でないならばとっくにゆるしてあげていらっしゃります。いつぞや了然《りょうねん》殿はあのかたよりもはるかに悪い罪を犯されました。けれどもあなたはおゆるしなされました。また唯信《ゆいしん》殿がこの春あやまちを犯された時、お弟子衆《でししゅう》は皆破門する
前へ
次へ
全275ページ中141ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
倉田 百三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング